後輩はレンタル彼氏

お酒が進み、ずいぶんと酔ってきた頃


津雲「あー。本当、仕事終わりのこれがあるから頑張れるんです」

奈帆「これ? って?」

津雲「藤野先輩と飲みに行ける至福の時間」

 とろんとした目で言われ、奈帆はさりげなく視線をそらす。

奈帆「好きだね。飲むの」

津雲「違いますって! 藤野先輩とだから嬉しいんですよ。俺、藤野先輩、好きだって何回も言ってるじゃないですかー」

奈帆「はいはい。飲み過ぎてるんじゃない?」

津雲「まだまだ飲み足りないくらいですよ」

 奈帆、軽く笑って受け流す。

奈帆(慕ってくれてるのはわかるけど、好きだなんていつもの軽口。
けれど、同僚として信頼し合って、冗談を言い合える津雲くんとの時間は心地いい)

 少し思いつめた顔つきで。

奈帆(だから、この関係を失いたくない)


奈帆、居酒屋から帰って自宅のアパートで

奈帆(どうしても。レンタルしてでも私には恋人が必要だから)

手にしているスマホには昼間、理沙と見たサイト『ラブスイート』が表示されている。


< 4 / 23 >

この作品をシェア

pagetop