焦燥と貞操
人、人、人、人、
足を前に進める度に踏み続ける。
黒い人々。
表面をどれだけ着飾っても、
どれだけ塗り重ねてもそれは深く、黒く。
重ねれば重ねるほど取り返しがつかなくなる。
歳も体も。
病院のベッドの上でやっと気付く。
踏む、踏まれる、踏む、踏まれるの悪循環。
感じる度に自分の不甲斐のない愛を恨む。
一喜一〇〇憂を繰り返す人生を
好きになる事など出来ない。
そんな環境を生む人間もまた。
好きになる事など出来るはずがない。
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