ゴンドール森の魔女リュシカ。
リュシカはモリソン川に向かいます。

釣り道具でした。
陽光の夏日だ。

そしてそれが黄金の砂金のようにゴンドール森を流れるモリソン川を揺らめかせるのでした。

日々とは常に砂金であり、だからこそリュシカはそれらを過去の文献のなかに求めたのでした。

リュシカにとりいにしえのエルフの栄光もドワーフの繁栄さえもけして遠いものではなかったのです。

森の木陰。
ゆるやかに風が吹いていくのでした。

文献学者リュシカ。
それがリュシカのもう一つの側面でした。

モリソン川の流れはゆるやかでした。
だからこそ。
だからこそ。

リュシカは過去のその時間と文明の大きさをどこかで考えていたのです。
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