Love Eater Ⅲ



「っ……じゃあ!その処置で魔混じりの人間も…」

「いや、あくまでも魔族の魔力に対してのみだ。人間とは基本的な体の構造、体質、免疫、耐久力に再生力が違いすぎる。それに、出来たとしてもその手法を無暗矢鱈異種の手に渡すはずがないだろう。それこそどんな影響を生むことになるか」

「そう…ですよね…」

「対処や対策は己が種族で研究進歩していくべきなのだ。その時にそぐうペースの進化で。悪戯に適さぬ能力に救いを求めるべきじゃない」

ああなんか……

王様なんだな…。

じっくりと話し込んでみればそう感じてしまう魔王の意向。

もっと横柄に、人間にもたらされている魔の影響など関係ないとばかりにこちらのことなど放任されているのだと思っていた。

それでも、きちんと現状で出来うる対処を施しこちらへの影響も見計らいながら平衡を保とうとしてくれているらしい。

「……お前の質問は終わりか?」

「あ……はい……あっ、」

「……はあ、まだあるのか?」

「いや……その彼女は……彼女の刑期はまだ続くのかなぁ…と」

「……やっとか、」

「へっ?」

「それが俺のしたかった話と直結するんだよ」

「…………………あっ、……俺に頼みたい事があるっていう…」

「頼みじゃなく命令だ。お前には罪人としてあそこで奉仕していた夜音を唆したっていう罪がある」

「っ……す、すみません?でも……記憶が戻るのが罪?」

「罪だろう!罪人だったころの精神を呼び起こし、過去への執着や未練まで思い出させたんだぞ!だからお前には責任を取ってもらう!」

さっきまでの威厳や尊厳はいずこへ?

そんなことをソルトが思ってしまうほどに今の魔王の背後には【シスコン】という私情の文字が見え隠れ。



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