オトナだから愛せない
「迎えに来たよ」

昇降口で靴を履き替えていれば震えたスマホは皐月くんからで、なんとも嬉しい知らせが届く。

そんなの無理だ。楽しみでどうしたって早足になってしまう。
トントンっとつま先を地面に叩き、靴を履いて駆け出した。
いつもの帰り道がどうしたって長く感じて、赤信号にさえ早くと催促してしまうくらい。

信号待ち中に皐月くんからのメッセージ。パッと信号が青に変わり、それだけ送信してスマホをしまった。
早足で家までの道を急ぐ。皐月くんの作ったナポリタン!楽しみ過ぎる。早く会いたい。
のに、ポケットの中でスマホが鳴る。急いでいるのに一体誰だ。

「あ、皐月くん」