文の幸福
レイジを聴きながら、警察署に到着すると知り合いの“林署長”が入口の自動販売機でコーヒーを買っていた。

「お!文ちゃん!いいところに来た。コーヒー飲むか?」

「こんにちは!いただきます!」

とコーヒーを奢ってもらい飲みながら中に入ると若い女の人がハンカチを握りしめながら座っていた。


「文ちゃん、ちょうど見て欲しい人がいるんだけど」

と、奥の部屋へ連れて行かれてマジックミラー越しの隣の部屋の男の人をみる。

男の人は柄が悪く、机をトントンしながら大股で貧乏ゆすりをしている。微妙に顎が引けているようにみえる。


「どう思う?一応殺人の容疑者。自白して、書類作成中なんだけど何か気になって・・・」

「あーもしかして、凶器は包丁でしょう?
被害者は男性?胸あたり刺されたんじゃない?
だとしたら、加害者はさっき座ってた女の人だと思います。」

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