文の幸福
「おはようございます!文(あや)です!」

必ず入館時には名を名乗れ!と言われている。理由は不明。

「おぅ!おはよう!ブンブン!
・・申し訳ないが今、出動命令がでたから今日の稽古は中止だ。悪いな。」

・・・“あや”と名乗るのに返しはいつもブンブン。コードネームなのか?

「いえ!大丈夫です。次回よろしくお願いします。」

と挨拶を終えさっさと署をでる。

みな、私を”ブン”と呼ぶ。

文(あや)って名は大好きだ。

お父さん側のおばあちゃんの文(ふみ)さんは、村一番の美人でそれはそれは踊りも裁縫も上手で村の人気者だったらしい。

私が生まれるまえに亡くなっていて、名前をもらって、私は文(あや)。

小学校の頃、名前の由来って宿題で初めて両親に教えてもらった時には両親だけでなく
会ったこともない祖母の愛も含まれている感じがして、とても嬉しかった。

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