愛され女子になりたくて
珈琲とデザートを堪能していると、モカちゃんと優子さんのスマホにそれぞれパートナーから、お迎え電話が入ったので、解散する事になった。

今日は温さんが仕事の為、バイト君が護衛に着いて駅まで送って貰う。

無事に電車に乗り、自宅の最寄り駅に到着。
駅前の二十四時間スーパーに寄って、姉のゆうはんと、明日の食料を調達する。

ベーカリーコーナーで、青山さんと鉢合わせた。

「お疲れ、こんな時間に買い物か?」

「お疲れ様です。青山さんこそ今、帰りなんですか?」

「接待だったんだよ」

「私は・・・女子会です」

「・・・そっか。もう、買い物は終わるか?」

「はい。後は会計だけですが?」

「遅い時間だから、送ってく」

「大丈夫ですよ?青山さん、お疲れなんですから真っ直ぐ帰って下さい」

「ダメだ!何かあったら、俺が後悔する」

強い口調に、肩がビクッとなった。

「わかりました・・・お願いします」

「ん、デカい声上げて、ゴメンな」

「いいえ、大丈夫です」

二人で会計を済ませ、肩を並べて歩く。
私が異動したら、こういう事も無くなるんだろうな・・・。
胸の奥がチリチリと、痛む。

あと少しで、マンションに着くというところで、青山さんが足を止めた。

「佐藤さん、何かあったのか?元気ないけど・・・」

「いいえ、何も無いですよ。青山さん、私はいつもこんなものです」

ヘラっと、笑って見せた。

「なら、良いけど・・・何かあったら、何時でも相談してくれて構わないから」

「ありがとうございます。でも、私ってそんなに頼りないですか?中野さんにも同じ事を以前に言われました」

「余計なお世話だったかな?」

「いいえ、嬉しいです。その時は、宜しくお願いしますね」

「ああ、もちろん」

マンションに着いた。

「送っていただいて、ありがとうございました。青山さんも気をつけて、帰って下さいね」


部屋に帰り、食材を冷蔵庫に仕舞い、泊まり込みだから、夕飯は要らないと言う姉のメッセージを確認して、自室に入った。

「青山さんに、相談する事は無いだろうな・・・もう、好きで居るのは、止めようか・・・」

後から後から、涙が出てくる。
きっと、今日の青山さんも、同じ気持ちなんだろうな。


朝起きて、鏡を見たら酷い顔だった。
あの後、何もする気にならず、メイクも落とさずに泣き腫らして寝てしまった。

姉が何時に帰るかわからないが、連絡が来るまでアイシングする必要がある。
今日が土曜日でホントに、良かった。

月曜日、中野さんに伝えよう。
青山さんに直接係わるのは、優しい人だけに・・・辛いものがある。
また、中野さんの下で鍛えて貰って、仕事を頑張ろう。

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