愛され女子になりたくて
今日から同居

金曜の夜。

新体制が大分浸透しはじめ、幾分か楽に仕事が廻るようになってきた。

さすがにまだ残業になるような仕事もなく、定時で帰宅すると、青山さんからLINE電話がきた。

「下のコインパーキングに、クルマ停めたから。部屋まで荷物取りに行くよ」

「玄関に用意してあります。鍵、開けときますね」

「いや、アブナイから俺を確認してから開けてくれる?」

「わかりました」

「良し!」

そんなやり取りをすると、インターホンがなった。
ドアスコープを確認すると、青山さん。
直ぐに鍵を開けて、玄関に置かれた荷物を見ると驚きの声を上げた。

「えっ?荷物これだけ?」

キャリーケース一つと、ボストンバッグが二つ。
後は保冷用のトートバッグ。

「はい。まだ、姉はここにいるので、私の荷物はこれだけですよ」

「てっきり、女の子だからもっとあると思ってた」

「あまり、物が多いの好きじゃなくて・・・変ですか?」

「いや、確かにオフィスでもデスクはスッキリしてたけど・・・別に、変じゃないよ」

「家具と細かなものは、明日業者から配送されるので、私の手持ちはこれだけなんです」

「そうか、わかった。キャリーケースとボストン二つは俺が持つから、佐藤さんはそのトートバッグだけ持って来て」

「了解です」

二人で荷物を持ち、部屋の鍵をロックしてクルマに移動する。

白のミニバンの後部スライドを開けて、荷物を積み込み、青山さんの部屋へ向かった。
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