晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】

朝から雨

それから、一週間後。

今日は朝から雨が降っている。

帰宅しようとした私は、オフィス傍の傘立ての前で困っていた。

朝、差してきてここに立てておいた私の傘が見当たらない。

誰かの傘の陰になっているかもしれないと探してはみるが、見つからない。

困っていると、通りがかった課長が声を掛けてくれた。

「立川さん、どうした？」

「あ、いえ、傘が… 」

盗まれたとは言いたくない。

同じ社内の人しか使わない傘立てだ。

誰かが悪気なく取り違えたんだろう。

言葉を濁した私だったが、課長はそれで状況を察してくれたようで、
「俺も今帰るから、ちょっと待ってて。」
と言い残し、スタスタと自席へと戻っていってしまった。

待ってて…？
一緒に探してくれるってこと？

私がその場で待っていると、帰り支度をした課長が現れた。

課長は傘立てから紳士物の傘を取り出すと、
「行こう。」
と私に声を掛けて歩き出した。

私は慌ててついていく。

エレベーターに乗り、1階から外に出ると、課長の大きな傘を開いて差し出された。

これは、また一緒に帰ろうって言ってる？

私はおずおずと一歩踏み出し、課長の傘の下に入る。

すると、課長は微笑んで私の肩を抱いて歩き出した。

え？
だって、肩、え？

戸惑う私にお構いなしで課長は歩を進めていく。

私は、ドキドキしながら、ぎこちなくついていくことしかできない。

でも、今日は課長の大きな紳士用の傘。
こんな風にくっついて歩く必要ある？