夜明け3秒前
そのあと、清さんと流川くんについて行き会場へと着いた。
すごく大きなところで、天井のシャンデリアが目に眩しい。


立食形式らしく、たくさんのご馳走がテーブルに並んでいる。
人が数えられないくらいたくさんいて、気を抜いたら迷子になってしまいそうだ。


「すまない。私はもう行くけれど、2人は自由に楽しんでいってくれ」

「うん、わかった」


清さんは足早に会場の中へ進んでいった。
たくさんの人に声をかけられていてすごく忙しそうだ。


そっか……
主催だって言ってたし、挨拶とかだけでも大変だろうな。


じーっと見ていて、ふと気づいた。


「流川くんは挨拶とか大丈夫なの?」

「んー、知ってる人にはするけど、全員にはしないかな。ほとんど知らない人だし」

「そっか」


少し安心した。
私はコミュ力高くないし、話も上手くないから。


「凛月、何食べたい?」


会場の中をぶらつきながら、並んでいるご馳走を見る。
サラダやお魚、お肉……

見慣れている食材が、おしゃれに綺麗に盛り付けされている。
どれも美味しそう……!

「うーん、迷っちゃうなあ……」


こんな贅沢な悩み、今まであっただろうか。
真剣に考えていると、「千那くん」と流川くんを呼ぶ声が聞こえる。
< 134 / 192 >

この作品をシェア

pagetop