夜明け3秒前
「千那くんももうそんな年か。時が経つのは早いな」
「あはは、俺もう高校生ですからね」
2人はにこにこと笑い合っているけれど、目の奥が笑っていない気がするのはどうしてだろう……
会話に入ることもできずただ隣で話を聞いていると、突然周りの人の歓声が湧き上がった。
皆の視線が一点に集まる。
私もつられるようにして視線を向けると、そこには清さんの姿があった。
「スピーチが始まるみたいですね。からかうのもほどほどにして、そろそろお暇しましょう」
「ははっ、そうだな。それじゃあ2人とも、いい夜を」
卯月さん夫婦は挨拶をすると、仲が良さそうに腕を組んで行ってしまった。
な、なんだかすごく緊張したな……
「ごめんな、こういうことに付き合わせて」
「ううん、謝るようなことじゃないよ。楽しませてもらってるし」
流川くんは、申し訳なさそうな、傷ついているような表情から変わらない。
本当に大丈夫なのに……
「私、迷惑かけてない?こういう場、初めてだし心配で……」
「全然。凛月が隣にいてくれて嬉しいよ」
彼の表情が明るくなってほっとする。
でもそういうこと言うのはずるい。
私まで嬉しくなってしまうから。
それにしても、こういう大人の世界にお姉さんがいなくても1人でいたなんて、流川くんってすごいなあ……
私だったら怖すぎてきっと無理だ。
彼は1人でも立っていられる強さがあるのだと改めて思う。
「本日はお忙しいところにお集まりくださり、ありがとうございます」
そんなことを頭の隅で考えながら、清さんのスピーチを聞いた。
「あはは、俺もう高校生ですからね」
2人はにこにこと笑い合っているけれど、目の奥が笑っていない気がするのはどうしてだろう……
会話に入ることもできずただ隣で話を聞いていると、突然周りの人の歓声が湧き上がった。
皆の視線が一点に集まる。
私もつられるようにして視線を向けると、そこには清さんの姿があった。
「スピーチが始まるみたいですね。からかうのもほどほどにして、そろそろお暇しましょう」
「ははっ、そうだな。それじゃあ2人とも、いい夜を」
卯月さん夫婦は挨拶をすると、仲が良さそうに腕を組んで行ってしまった。
な、なんだかすごく緊張したな……
「ごめんな、こういうことに付き合わせて」
「ううん、謝るようなことじゃないよ。楽しませてもらってるし」
流川くんは、申し訳なさそうな、傷ついているような表情から変わらない。
本当に大丈夫なのに……
「私、迷惑かけてない?こういう場、初めてだし心配で……」
「全然。凛月が隣にいてくれて嬉しいよ」
彼の表情が明るくなってほっとする。
でもそういうこと言うのはずるい。
私まで嬉しくなってしまうから。
それにしても、こういう大人の世界にお姉さんがいなくても1人でいたなんて、流川くんってすごいなあ……
私だったら怖すぎてきっと無理だ。
彼は1人でも立っていられる強さがあるのだと改めて思う。
「本日はお忙しいところにお集まりくださり、ありがとうございます」
そんなことを頭の隅で考えながら、清さんのスピーチを聞いた。