夜明け3秒前
「はあ~……」


疲れを一気に吐き出すようなため息をついて、流川くんは小さく笑った。


「ふふ、金城さんと仲がいいんだね」

「んー……まあ、幼馴染だからな。ちょっとゆるいけど」


幼馴染……
そっか、だから『千那のことをもっと知りたくなったとき』って言ってたのかな。

昔から仲がいいのなら、私の知らないことなんていっぱい知っているだろうし……

特に考えもせずもらった名刺を裏向ける。
すると、丁寧な筆跡で数字が並べられていた。


これってもしかして電話番号……?
こんなドラマみたいなこと本当にあるんだ、なんて感激してしまう。


「連絡、すんの?」


まるでしてほしくないみたいな言い方にドキッとして彼の方を見る。
不安そうな表情をしていて、勝手に期待してしまいそうだ。


「しない方がいい、かな?」
「いや、それは凛月の自由だけど……」


その言葉に彼の優しさが感じられて口元が緩む。
でも、今の私じゃ金城さんと連絡を取るのは厳しそうだ。


「……今は遠慮しておこうかな」


悪い人じゃないし、正直、流川くんの話を聞いてみたいなんて思ってしまうけれど。
やっぱりあのノリには慣れないし、私のコミュニケーション能力じゃ上手く話せない。


もう少し、人間的魅力を上げなくちゃな……
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