夜明け3秒前
Epilogue
「いやさすがに女装はないだろ」
高校1年の夏。
この言葉が聞こえてきたとき、やっちまったなと本気で落ち込んだ。
ずっと会えていない姉との写真。
最後に撮ったのが、『かわいくさせて!』と姉が俺に女装をさせたときのものだった。
俺にとってはお守りで生徒手帳に入れていたのに、うっかり落としてしまうんだから自業自得だ。
高校生になって成長したからか、今までは『女子みたーい』と言われていたのに急にモテはじめた。
そのおかげで俺が女装したという噂はすぐに広まって、学校中で好奇の目にさらされた。
「実はそういうの趣味だったりするんじゃねーの?」
「ねえ、文化祭とかでメイドの恰好してくれないかな」
どこに行っても、誰に会ってもその話。
いいように話していても、何を考えているかなんてすぐわかる。
さすがに疲れて教室を離れ、一人で廊下を歩いているとき。
「あ、凛月、知ってる?学校一の美形が女装してたって話」
「ううん、初めて知ったよ」
初めて凛月のことを知った。
高校1年の夏。
この言葉が聞こえてきたとき、やっちまったなと本気で落ち込んだ。
ずっと会えていない姉との写真。
最後に撮ったのが、『かわいくさせて!』と姉が俺に女装をさせたときのものだった。
俺にとってはお守りで生徒手帳に入れていたのに、うっかり落としてしまうんだから自業自得だ。
高校生になって成長したからか、今までは『女子みたーい』と言われていたのに急にモテはじめた。
そのおかげで俺が女装したという噂はすぐに広まって、学校中で好奇の目にさらされた。
「実はそういうの趣味だったりするんじゃねーの?」
「ねえ、文化祭とかでメイドの恰好してくれないかな」
どこに行っても、誰に会ってもその話。
いいように話していても、何を考えているかなんてすぐわかる。
さすがに疲れて教室を離れ、一人で廊下を歩いているとき。
「あ、凛月、知ってる?学校一の美形が女装してたって話」
「ううん、初めて知ったよ」
初めて凛月のことを知った。