夜明け3秒前
コテージに戻ると、清さんが外で何やら準備をしていた。


「2人ともおかえり。手を洗っておいで、もうできるから」

「はーい」


流川くんは返事をすると、すたすたと手を洗いに行ってしまう。
私も急いで後を追った。


手を洗って戻ると、お肉の焼けたいい匂いがほわほわする。
炭コンロに、アウトドアチェア……これはどう見ても。


「バーベキュー?」

「そう、じーちゃんのとこに帰ってきた初日は、バーベキューするんだ」


答えてくれた流川くんは楽しそうだ。


「そうなんだ、すごいね!私、飯盒炊飯(はんごうすいはん)しかしたことないや」


学校の遠足での経験しかない。
憧れだったことができるなんて思ってなかった。


「そうかそうか。遠慮せずたくさん食べてね」
「ありがとうございます」


清さんが、お肉ののった紙皿を渡してくれる。
すごい、本物のバーベキューだ……!


「いただきます」


流川くんが手を合わせたのを見て、私も挨拶する。
焼きたてで熱そうだから、ふーふーしてから食べた。


「美味しい!」


家で食べるお肉と全然違う。
炭の味?香りがするというか、それがまた特別感があって美味しく感じた。


「よかったよかった。ほらたくさんお食べ」


清さんは、焼きたての野菜やお肉をたくさんのせてくれる。
祖父たちを思い出すこの感じが懐かしくて、温かく、そして寂しくもなった。
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