恋愛暴君のきみは、ときどき甘い

凌の隣にはいつも女の子がいた。

休み時間にはやたら女の子からの呼び出しはが多いし、見る度に違う女の子と歩いているし。


もしかしたらそうなのかも、とは思っていた。

信じたくはなかったけど。


『一ノ瀬?ああ、誰とでも付き合うよ、あいつ』

『隣のクラスの美少女も、美人だって有名な2年の先輩も、みんなみーんな一ノ瀬の彼女』


そんな現実離れした話を聞いて、凌とはもう別の世界に住んでいるような気がした。


そんなある日。

中学から付き合っていた原田先輩に会いに、2年の教室に向かっていた時のこと。

空き教室の扉は半開きになっていて、そこから原田先輩に似た声が聞こえた気がして、なんの疑いもなく近付いた。


だけど扉に手をかけた時、他にも女の人の声がして、気付けば私はそっと中を覗いていた。


今思えば、あんなことしなければ良かったのに。


そう思っても、もう遅い。


カーテンが閉め切られた薄暗い教室の中で、身体を密着させる男女。


男の人の方は間違いなく、原田先輩だった。

見られていることにも気付かず、夢中でキスをしている2人。


唇が離れると、女の人はくすくすと笑った。



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