同期は蓋を開けたら溺愛でした

 会社でいくら隣でも話さず、関わらず、大友を排除して過ごすことは案外容易だった。

 昼はコンビニで買ったパンを席で食べ、休み時間も惜しんで企画の発案に没頭した。
 大友と交わす少しの無駄口さえ惜しくて無言で仕事を進めた。

 それが今、このタイミングで話しかけないで欲しい。

「青木が頑張ってるのはみんなよく分かってる」

「……頑張ったって結果を出さなきゃ意味ないよ」

 アンドの件は不運だったとしても、その後に何も代案が浮かばないのは自分の実力だ。

「もうすぐ定時だ。 原田課長には言っておくから今日はこのまま帰れ」

 今日は金曜日。
 このままアパートで砂になって流れてしまいたい。

「どうせろくなもん食ってないんだろ。俺ん家に真っ直ぐ行けよ」

 大友はポケットから鍵を取り出すと無理やり手に握らせて、再びオフィスへと戻って行った。

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