同期は蓋を開けたら溺愛でした

 アンドの話をしている私たちに、パソコンに向かっていた原田課長が顔を上げ、呼び掛けた。

「大友、青木。午前中は材料メーカーとの打ち合わせだ。大友、ジャケットとネクタイ着用で頼むぞ」

「はい」

 同期の私たちはセットでよく扱われ、打ち合わせも二人一緒が多い。

 今日の打ち合わせでは新素材の情報を聞けるとあって、私はウキウキした気分で準備を始める。

 反して大友は気怠そうだ。
 打ち合わせどうこうよりも、服装が嫌なのだと思う。

 普段、自由めな服装の職場でも社外の人と会うとなると原則としてスーツ。
 図体の大きい大友がジャケットを着てネクタイまで締めると、私から見ても窮屈そうに思える。

 と、いいつつ、スーツ姿は似合っているし男前度が上がる気はしているのだけど。

 私もフレアスカートとブラウスの上にジャケットを羽織った。


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