同期は蓋を開けたら溺愛でした

「ヘタレじゃなきゃ2年もボヤボヤして、目の前で他の男にかっさらわれるわけないだろ」

 うわ……どうしよう。
 すごく、好きだ。

 まだ自覚して間もない気持ちは、突然爆発しそうになって大友に抱きつきたい衝動にかられる。

 潤む眼差しを向けると「そんな目で見るなって」と、ギギッと頭の向きを変えさせられる。

 お店の目の前。
 ここで抱きつけるほどの勇気はない。

「お疲れ。相変わらず戯れ合ってるな」

 後ろから声をかけられてドキンと心臓が飛び跳ねた。
 阿部くんと里美が楽しそうな顔をして立っている。

 阿部くんたちがすぐ近くにいるって知っていたのかな。
 いつもなら大友の方が甘い雰囲気を出すのに、今は全くもって同期の大友だ。

 不可解に思いながらも久しぶりに集まったメンバーに心は浮かれた。

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