同期は蓋を開けたら溺愛でした

「じゃ大友が転職しようとしてるのも里美は知ってるんだ」

「え? 何それ。知らないわ」

 里美が面食らった顔をして、動きを止めた。

「たまたま大友のスマホの画面が見えちゃって。転職サイトからお勧めの転職情報が届いてて……」

 やっと私の不安を里美に聞いてもらえる。
 その安心感からか、急にお腹が空いてきた。

「私も食べようっと。大友で悩んでるのが、なんだか馬鹿らしくなってきちゃった」

 さすがに冷めるからと後回しにしていた小籠包まで頼んで料理を堪能した。

「転職サイトね。考え過ぎなんじゃない?」

「そうなのかなぁ」

 真紀ちゃんとの付き合いだってまんまと騙されていたわけで、自分が知っていた大友を根底から覆された気がしてどうしていいのか分からない。

「してみればよかったじゃない」

「何を」

「キス」

 思わぬ台詞に目を白黒させて、咳き込む私に「最近、恵麻ったら咳き込んでばかりね」と笑う。

「里美が変なこと言うからでしょ」

「そう?」

 楽しそうな里美に恨めしげな視線を向けるとますます笑われる。
 私も我慢できなくなって吹き出した。

 里美とこうして笑っていると心が軽くなる。

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