孤独な私が愛を見つけたら
もしかして、私が引っ越しを考え始めたのは、あの場所以外の砦を、無意識に探していたんだろうか。

「そういう事なの。」

私より香織さんの方が妙に納得している。

「まあ、俺の部屋はいつもきちんとしているけれどな。」

私がきょとんとしていると、坂下さんが楽しそうに笑う。

「三井、佐奈の部屋はなかなか凄い事になっていてな。」

思い出し笑いが止まらない坂下さん。

あっ…!あの体調を崩した日に、坂下さんは私の部屋に入ったんだった…。

「それは…、今更何を言っているんですか!」

私は慌てて、坂下さんを睨む。

「でもな、あの部屋を見て、少しほっとしたのは正直な気持ちだったんだ。」

坂下さんがふっと真顔になった。

「佐奈にも隙があるんだなって、嬉しくなった。会社ではいつも張り詰めていたように感じていたから。」

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