孤独な私が愛を見つけたら
私はきっぱりと言った。

「そう、だからかえって宮田に興味が湧く。」

何を言っているんだろう、この人。

私の何とも怪訝そうな表情を見て、坂下さんは笑った。

「でもこの事と仕事は別だ。その辺はちゃんとわきまえるよ。」

坂下さんの表情が切り替わった。

「そういう事で、時間通りに会社に吉田さんが来た時は頼むぞ。」

坂下さんは大人だ。

「はい。」

そう返事をした私に、坂下さんはぐっと近づいた。

「宮田は俺なりのやり方でモノにするつもりだから。」

「えっ?」

私がハッとした瞬間に、そっと私の右手を一瞬握った坂下さん。

その感触に驚いている隙に、坂下さんはもうずっと先を歩いていた。

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