孤独な私が愛を見つけたら
9
「あら、早いのね。」

私より少しだけ待ち合わせ場所に遅れて来た三井さんは私に近づきながら言った。

「私だって着いたばかりですよ。」

三井さんならきっと時間ギリギリ…、もしくは少し遅れるかもしれないと想像して私も家を出ていた。

なぜか…、そんな事を考えるのが楽しかった。

不思議に…、今日が待ち遠しかった事が否定できない。

自分にこんな気持ちが沸き起こって来る事が意外だった。

「じゃあ、パスタでも食べに行こうか。」

三井さんは楽しそうに私の横に並んだ。

「三井さん。」

私は席に着いた途端、そう呼んだ。

すると少し怖い顔をした三井さん。

「佐奈ちゃん、そろそろ私もプライベートでは下の名前で呼んでもらえないかしら?」

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