孤独な私が愛を見つけたら
10
「ここかぁ。」

嬉しそうにマンションを見上げる香織さん。

確かに会社には近い。

私もその周辺をきょろきょろと眺めてみる。

「なかなか住みやすそうだね。どう?」

香織さんはニッコリと笑う。

「はい、話だけよりも実際の場所を見ると違いますね。」

何となく気持ちがホッとするような気がする。

このマンションの外観がそう感じるのだろうか。

「今思った気持ちを明日にでも坂下くんに伝えてみたら?」

「えっ?」

「何かそんな顔をしているよ、佐奈ちゃん。」

香織さんはそう言うと、私の肩にそっと手を置いた。

「私は帰るけど、佐奈ちゃんはどうする?」

< 86 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop