私の主治医はお兄ちゃん




悠母「おまたせ〜!甘いもの大丈夫だったらさっきシフォンケーキ焼いたから良かったら。」


そう言って優しい笑顔でお母さんはシフォンケーキと紅茶を丁寧にテーブルに置いた。



美「すみません。突然押しかけたのに…」


悠母「いいのよ。どうせ悠真が強引に連れてきたんでしょう?ゆっくりして行って。」


美「ありがとうございます!」


悠母「そうだ!どうせだったら夕飯も一緒にどう?」


美「え…でも…」


悠「いいじゃん。食ってけよ。」


美「ありがとうございます…」




どうしてこの家族はこんなにも優しいんだろう。








悠母「じゃあ私お買い物行ってくるわね。」


悠「気をつけてけよ。」


悠母「ありがとう。行ってきます。」



そう言って悠真くんのお母さんは部屋を出て行った。








悠「さてと……じゃあもう一箇所手当てしねーとな。」


美「え?」


そう言って私の袖口を悠真くんは優しくめくった。





悠「派手にやったなぁ。」


美「……」


悠「こんな事しても自分が傷つくだけだろ。」


美「……」





分かってる。


分かってるけど……


悠「それに。一度だけじゃねーよな。ここ切ったの。」


私はコクリとうなづいた。





悠「消毒するから少し染みるぞ。」


そう言って消毒し始める悠真くん。


美「……っ。」



思った以上に傷口に染みる。



悠「こら。手引っ込めないの。もう少しだから。我慢我慢。」




悠真くんは優しく手当てしてくれた。




今の私には辛くなるほど優しく。。





< 260 / 296 >

この作品をシェア

pagetop