極上御曹司のヘタレな盲愛
「ああ、ようやくくっついたか!」

光輝は私の頭をわしゃわしゃと撫でると、大河に向かって笑って言った。

ようやくって言っても、私にとっては怒涛の数日間だったのに…!

「今日からお前は義弟になったんだ。あはは!大河が義弟!これからは俺の事を義兄さんと呼んで敬えよ」

「うるせぇよ…」

「ふふふ。大河も悠太も義弟で…俺が義兄だ…!」
と光輝は謎の勝ち名乗りを上げていた。
もう、昨日はカッコよかったのに!


昼休みが終わる前に常務室を出て、大河は7階、私は更衣室のある4階へと向かう。

最上階のエレベーター前で…エレベーターが上がってくるのを待ちながら…。

「桃…愛してるよ…」
と大河がこれ以上ないくらい優しく微笑み、耳元で囁いた。

「か…会社でやめてよ!」
言いながらも嬉しくて頬が緩むのを止められない。

「ああ!離れたくない!出来れば膝の上に桃を乗っけて仕事をしたいくらいだ!」

「どこのエロ社長よ!やっぱり変態なんじゃん!」

2人で言い合いながらやってきたエレベーターに乗り込む。

クスクス笑っていた大河が、急に頬を引き締めて真面目に言った。

「昨日の朝の事もあるし…帰り、あんまり遅くなるなよ。気をつけて帰れ…」

「うん」

7階に着き降りる寸前まで、心配だと何度も言う大河に「大丈夫よ」と笑って答えた。

子供じゃあるまいし、心配し過ぎだよ。

「桃…帰ったら…今夜もいっぱい仲良くしような…」

降りる前に耳元で囁いた大河の言葉に昨夜のコトを思い出し、全身が真っ赤に染まる。

そんな私を見てクスクス笑う大河に、口を尖らせながら軽く手を振って別れた。


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