極上御曹司のヘタレな盲愛
「はぁ?だからあんな憎らしい事を言ったっていうの?わかりにくッ!
…って…え?今…!大河が私に謝った⁉︎
ごめんって…私…生まれて初めて大河の口から『ごめん』って言葉を聞いたよ…」


「ふっ…俺…昔から馬鹿なガキでさ…。
桃が困ったり泣いたり…大人になってからは、怒ったり…その反応がいちいち可愛くて嬉しくて…。意地悪な事ばかりしたし、言った。
ほら、よく言うだろう?男は好きな女子を苛めたがるって…」

大河は私の顔を見てニヤリと笑った。

「でも…桃に避けられるようになって、ずっと後悔をしていたんだ。
アホな事ばかりしていないで、悠太みたいに最初から桃に優しくしていたら…。お前は俺にも笑いかけてくれたんだろうかって…。
もっとずっと前に、桃の事が大好きだと…ちゃんとお前に言っておけば良かったって…。
そうしたら…。
だけど…大人になってからも…桃の顔をたまに見られて話せたりすると…。嬉しくて…また憎まれ口を吐いてしまって。
ホント、俺…今でも馬鹿でガキだよな、ごめん」


頭の中が混乱して、大河の顔を見つめたまま何も言葉が出てこない。
つまり…私の事が好きだからずっと意地悪をしていたってこと…?

「でも、全部が全部、意地悪じゃないぜ。
子供の頃のお前への誕生日プレゼントも、母さんに用意された花束を、ただお前に渡すだけなのが嫌で…。自分でお前に似合うと思って、コスモスを摘んで渡したんだ…。お前は全然喜ばなかったけどさ…」

「だって!あれは…」

「そのコスモスに芋虫がついていた事なんて、つい最近まで知らなかったんだよ。
あれは、意地悪なんかじゃない…。まぁ、お前が意地悪だととったのも、俺の日頃の行いが悪かったからだよな。わかってる…。困らせてごめん…」

「……!」

呆然として見つめる大河の顔は、いつもの意地悪な感じなんてどこにもなく…ただただ甘く…。

私を見つめるその青みがかった瞳は…まるで愛しくてしょうがないものを見るように優しい…。

こんな顔をする大河を私は見た事がない。
心臓が…なぜかドクンと大きく跳ねた。

「俺が…子供の頃からどれだけお前の事が好きなのか…わかってくれたか?」

「ええっと…うん…わかったと思う…」


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