極上御曹司のヘタレな盲愛
『大河…。桃は美波ちゃんの所にも、恵利ちゃんの所にも行ってなかったよ…」


定時後、会社近くのカフェで1時間程待った後、悠太に電話し桃が定時であがった事を確認した。

マンションに帰っているかもしれないと戻ってみたが、桃の姿はなかった。
コンシェルジュにも確認したが、なんの伝言もないし姿も見ていないと言われた。

桃のスマホに何度電話しても電源が入っていない。
光輝に、桃が実家に帰っていないか確認して貰ったが…。

結果、桃が同僚の2人の所にも居ない事がわかった。


『大河…あともう一つ。桃に関して残念な知らせがあるんだけど、聞きたいか?』

「なんだよ」

『お前んとこの部下…バーベキューの時の…高橋?…あいつ今日桃に、結婚を前提に付き合ってくれと告白したらしいぞ…』

「は⁉︎」

『十分予想できただろう?』

「……」

『明日返事をするって言ってたらしいんだけど、もしかして今日になったのかもって美波ちゃんが言ってた…』

…胸の奥がザワザワして…吐きそうだ…。

「…桃から連絡があったら知らせてくれ」


桃…何処にいる?

クソッ!あいつが寝ている隙に、ペット用のGPSでも埋め込んでおくべきだった!と本気で思った。

桃のスマホにまた電話をかける…。


繋がった!


『わっ!…も…桃です…』

ああ、桃の声だ…無事だった!

「このどアホ!一体どこをほっつき歩いてるんだ!今、どこにいる?迎えに行くから!」

『…迎えになんて来なくていいよ…』

「はあ⁉︎」

『大河、私…一人暮らしするから…落ち着いたら連絡するから私の荷物返してね』

「桃⁉︎ちょ…ちょっと待…」

切れた!


…一人暮らし…?なんで…?

…高橋か?アイツと付き合う事に決めたからか?だから一人暮らし?

今朝の桃は、一人暮らしがしたいなんて一言も言っていなかった。
という事は、今日のどこかで何か心境の変化があったんだろう。
心境の変化があったとしたら…高橋から告白された事しかないんじゃないか…。


俺が!
俺の方が高橋より先にプロポーズしただろ?

子供の頃からずっと好きだって、ちゃんと言ったし。
なんで…。


桃は今…高橋と一緒にいるのだろうか。

そんなの許せない!

高橋と…桃が抱き合う姿…想像しただけで…嫉妬で気が狂いそうだ…!


桃は…どれだけ長い間…俺が桃の事を好きか…知らない…。


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