【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
2:

前向きに涙

朝、目を開ける。


……嘘みたいに楽しい夢から、覚めてしまった


沈み込みそうな気持ちを必死で押し殺す。


だってそうなってしまえば、昨日まで確かにあった鮮やかな世界がどんどん濁ってしまう気がするから。


自室の学習机に手を伸ばし、伏せられたままの写真立てを起き上がらせた。


あの頃、蓮と過ごした私は、こんなに楽しそうに笑っていたんだっけ……?


まるで他人事みたいに感じてしまったことが無性に悲しい。


大賀君と別れた傷心の中に、ほんの少しある気持ち。


……ほっとしたような、あきらめに似た、安堵。


この一カ月は、幸せすぎたんだ。


蓮を裏切っていいわけないのに。


私の罪は、そんなに軽いものじゃないのに……。


これでよかったって思うには、十分な理由だ。



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