【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「うん、飲んでみたい」


長い列に並ぶ間、なんてことない話をしていると、突然「はぁー」と西田さんが深く溜息をついた。


「どうしたの?」


「んーん、葉由と栞といると……めっちゃ楽しいなぁって思って……」


思わず、栞ちゃんと顔を見合わせた。


「嬉しいね?」


「うん、嬉しい!」


栞ちゃんが西田さんに抱き着いた。私も、そっとその上に両腕を重ねる。


「暑いよ」

西田さんの文句っぽい声は私たちと同じくらい、嬉しそうだった。


「あっれー?マリちゃん?」


駆け寄って来る明るい声に、三人同時に振り返った。


……内海君だ。


「すごいね。二人に抱きしめられててよく見えないのに、彼女だって気付くなんて」


栞ちゃんがこそっと言う。


体を離してしっかり見ると、少し後ろから笠間君と、栗原君と……大賀君が歩いてくる。


その途端ドキドキと高鳴り始める心臓には、うんざりする。

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