【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
蓮の体が、真っ赤に染まっていく。


涙を拭いながら「蓮」と叫んだ。


「……葉由……。はぁ……大丈夫……?」


そんな時まで、蓮は人のことばかりだった。


最期の言葉、それでよかったの?
そうじゃないでしょ。もっと言いたかったことあったでしょう?


……どうして、蓮が死ななきゃいけなかったの。



薄っすらと目を開ける。夕日に染められたオレンジの天井を見つめて、また瞼を下ろすと、濡れ切った頬に涙が伝った。


何度も夢で蘇る、事故の鮮明な記憶。幼馴染で付き合っていた蓮との甘い記憶は、セピア色に褪せてしまって、夢でさえ見られなくなったのに。


カチ、カチ。時計の音。
日が昇るのも沈むのも、時間さえもいつからか、気にしなくなっていた。


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