LONELY MOON ―ロンリームーン―
 


「………」

「………」



起きた女と、ばっちりと目が合った。

しかも、かなりの至近距離で。

今思えば、上半身裸でこんな強面の男にガン飛ばされるんだ、
悲鳴を上げてもおかしくねェ。

俺は柄にもなく動揺した。

とりあえず顔を遠ざけるも、そこには気まずい空気が流れた。

そんな中、先に口を開いたのは、



「…は、はじめまして!」

「…!!
ハ、ハジメマシテ?」



女はにっこりと笑顔で、この俺にそう言った。

俺も間抜けに、つられてそう返してしまった。

俺がそう返すと、女はまたにっこりと笑った。

危なくそれにもつられるところだったが、気を取り戻しまたいつもの強面に戻った。



「先生っ!もう、大丈夫です」

「あら、陽那チャン起きたの?」



女が美佐子を呼んだ。

美佐子はカーテンを開けると、まだ心配そうにその"陽那チャン"と呼んだこの女の額に手を添えた。



「本当に大丈夫?

まだ寝ててもいいのよ?」

「いえ、もう平気です。

それに、ベッド使いたい人もいるみたいだし」



女は俺のほうを、今度は心配そうに、上目遣いで見てきた。

俺の心臓はどくんと跳ねた。
…ヤメロ、そんなのは柄じゃねェ、落ち着け俺。

ぐるぐると熱いものが俺の中を駆け巡る。




 

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