ことほぎのきみへ
「花菜(はな)、ご飯作っておいたから食べてね」

「んー…」

「優(ゆう)、洗濯物畳んでおいたから」

「…ん」

「後、お父さんにお弁当渡しておいて
そこにあるから」

「わかった」



リビングにやってきた妹と弟に声をかけながら
つけていたエプロンをはずす


まだ眠たそうに目をこするパジャマ姿の二人を見て思わず笑う



「二人とも髪、爆発してるよ」


あちこちぴょんぴょん跳び跳ねた二人の髪を撫でる



「いってきます」

「「行ってらっしゃい」」



小動物二人に見送られ家を出た





家族は好きだ

大事だ

なによりも
自分よりも


お母さんが亡くなってから
余計にそう思う


いつ自分や相手がいなくなってしまうか分からない

だから、あたりまえに傍にある存在を


あたりまえではないのだと

失って困るものなのだと

限りある尊い時間なのだと



実感して大切にして生きていこうって決めた
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