私のかみさま
その問いかけに気を取られている間に
何かに気付いたその子供は駆け出した



「わぁ~っきれ~っ!」



社の方に顔を向ければ

真っ赤な夕日に染まる景色


それにきらきら目を輝かせる子供



「そうだな」

「わっ!」



そんな子供を、ひょいっと抱えて肩に担げば

きゃっきゃっと嬉しそうに騒ぎながら
広がる景色を目に焼き付けてる




「…」




『榊は今、幸せですか?』




……昔も今も
変わらず俺の幸せを願う相手がいる



あいつを

あいつのいるこの町を

あいつが残していくものを



そこにいる証がある限り

俺の存在が望まれる限り



俺はこの場所で見守っていく





「あのねあのね、さかき」


「ん?」



くいくいと俺の服を引っ張って



「ひなね、さかきにあえてうれしい!!」



無邪気に笑うその顔に



重なる面影



いつか見た、幼い頃のあいつの笑顔




「……ああ。そうだな、俺も―」










「幸せだ」
< 184 / 184 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:12

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

初めての恋のお相手は

総文字数/19,296

恋愛(純愛)45ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
好きになったのは 少し、変わった人でした だけど あなたのすべてが 愛おしい
きみはあたしのライラック

総文字数/78,161

恋愛(純愛)133ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
お願いだから 離れないで そばにいて *12月完結予定です*
幼馴染との正しい距離感

総文字数/30,198

恋愛(純愛)57ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
好きなのは 今 目の前にいる君だけ どうしたら この距離を正しいものにできる?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop