溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~

エレベーターから降りた先には玄関ドアがひとつしかなく、最上階のフロアはひと部屋のみだということがわかる。

すでに引っ越し荷物の搬入が始まっているなか、広海さんの後をついて行くと、温白色の照明が灯る広々とした玄関ホールに辿り着いた。

「おかえり」

黒のVネックシャツにカーキ色のチノパンスタイルの専務が、爽やかな笑みを浮かべながら私たちを迎えてくれる。

「専務。今日からお世話になります」

「こちらこそ。さあ、上がって」

「はい」

カジュアルな服装もよく似合っている彼に促されるまま部屋に上がり、リビングに案内される。

アイボリー色のソファとテーブルが配置されているリビングはホームパーティーが開けるほど広く、南向きの大きな窓からは六本木ヒルズや東京ミッドタウンが一望できる。

「今、お茶を入れるよ」

解放感いっぱいのリビングに感動していると、声をかけられた。

『いらっしゃい』ではなく、『おかえり』と出迎えられたときから、もう同居は始まっている。

「あ、それなら私が」

キッチンに向かった専務を急いで追った。

八人がけのテーブルが置かれているダイニングを通った先にはオシャレなアイランドキッチンがある。その奥にはオーブンレンジなどの家電製品や、両開きドアの大きな冷蔵庫が並んでいる。

卵も満足に割れない彼に、この素敵なキッチンは宝の持ち腐れだ……。

心の中でこっそり毒を吐きつつ、お茶を入れた。

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