卒業写真    ~思い出の一枚~
車に乗って直ぐは、緊張のあまり何も話せず

ただただ、下を向いて手のひらの汗と格闘していた。

10分くらい過ぎた頃かな?

「助手席に座らせて………ごめんね。」って

いつもの先生口調とは違う

プライベートな話し方の先生が

こっちを見て笑ってくれたの。

そうだ。

恥ずかしいからって………ずっと下を向いていたら。

先生のせっかくのプライベートの時間を

楽しくないものにしちゃう。

私達は、学生だから夏休みがあるけど

先生は貴重なお休みなのに、つき合ってくれてるんだもん。

ダメダメダメ!

一人、気合いを入れ直して呟いていたら

プッ!!

っと吹き出す先生。

えっ!

今の…………声に出てた??

「ありがとう。
僕の事をそんなに考えてもらえるって………
嬉しいよ。
でも、僕の為にじゃなくて
桜ちゃんが楽しんでね!
みんなが楽しそうな笑顔だと、僕も楽しくなるから。」って。

先生…………

先生は、私が片想いしてること知らないから

そんな呑気なことが言えるんですよ。

私は、ここに集まってからずっと

夢の世界で生きてる気分なのに………。

これ以上頭を沸騰させないで。

せっかく上げた顔は………

それからまた10分。

上げることが出来なかったの。
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