卒業写真    ~思い出の一枚~
「…………大丈夫ですか?」

耳に届いた声は、私が待ちに待ったもの。

…………まさか。

…………………ホントに………………先生??………………。

顔を上げると…………

あの頃と少しも変わらない笑顔。

「大丈夫だったら………
写真、撮りますか?」

……………………写真??

誰の??

「………………………………先生の??」

キョトンとして、質問する私に。

少し驚いたような顔をした後、笑って。

「いえいえ。
僕のじゃなくて………
親友の夏苗さん達、新郎新婦ですよ。」

クスクス笑いながらの言葉に

「……………??
夏苗…………ちゃん?
新郎………………新婦??」

あっ!?

恥ずかしい。

真っ赤になる頬を押さえて

何のために前に進んだのかを思い出した。

「撮ります。
撮ります!
夏苗ちゃん達を、撮ってきます。」

慌てて立ち上がる私を支えて

「急に動くと危ないよ。」と

ニッコリ笑って、そのまま歩き出した。

「あっ。
あの………………えっと…………………先生?」

戸惑う私の手を引いて

新郎新婦の前に連れて行った。
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