卒業写真    ~思い出の一枚~
「先生、さよなら。」

「また明日ね。」

「バイバイ。」

放課後は、部活のない生徒達が

一斉に帰り支度を始める。

校門には、沢山のお迎え車が停まっているからだ。

「桜は、今日も写真部?」

「まだ引退しないの?」

玲奈ちゃんと夏苗ちゃんに聞かれて、曖昧に答える。

「う………ん。
部活そのものには、出てないんだけどね…………。
現像したいなぁって…………。
もうちょっとだけ…………残ろうかな?と……………。」

私の苦しい言い訳にも

特別変に疑うこともなく

「そっかぁ!
じゃあ、頑張って。」

「また明日ね!」と帰って行った。

…………………ごめんね。

ウソついて。



放課後の私は、部活なんて出ていない。

ホントは、とっくに引退しているの。

向かう先は……………図書室。

うちの学校は、同じ敷地内にある大学に進学する子が殆どだから

図書室で受験勉強をしている生徒は見当たらない。

外部受験する夏苗ちゃんのような子も

お家に家庭教師が来るから。

私のお目当ては…………もちろん先生。

お仕事が忙しく、いつも来ている訳ではないんだけど

よくここで、英語の勉強をしているの。
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