卒業写真    ~思い出の一枚~
次の日は、変わらず限られた生徒のみの学校。

いつものように、図書室に向かうと

そこにはいつもと同じ先生のノートが広げられていた。

ただし…………

いつもとは違って

先生の姿は見られなかった。

あれっ?

お手洗い?

呼び出された?

大して気にも止めず、メモを覗き込むと…………

そこには昨日、私が書いたメモが開いてあり

『今日はバレンタインなので、チョコにしてみました。』

の下に写る『好き』の文字が

鉛筆を傾けて黒く塗ることで………浮き上がっていた。

先生に私の気持ちがバレた??

もしかして…………

キャンディを置いていたのが………私だということも??

急に心臓がドキドキし始め

その場に立っているのが辛くなった時。

手をついた、テーブルのノートに再び目がいくと

『いつもありがとう。
お陰で、頑張れます。
ホワイトデー、楽しみにしていて下さいね。
卒業式の後…………
またここに来て、メモを読んで下さい。』と

先生からの返事が。

ホントだったら、嬉しいはずの返事も………

私の気持ちがバレたかもしれないと思ってる今。

素直に、喜ぶことができない。
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