【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
相手は病人なのよ。強くは言えない。
きゃあ〜、どうしたらいいの?
固まる私。
「……俺が……綾香を……守る」
うわ言のように呟く彼。
その言葉に胸を打たれた。
思い返せば、高校の時からずっと蒼士に助けられている。
私が危険な時にたまたま彼が居合わせただけかと思っていたけど……実は私は今まで彼に守られてきたのではないだろうか?
彼が風邪を引いたのは私のせいなのだ。
「……蒼士」
思い切って自分も蒼士の背中に腕を回すも、ドキドキが止まらない。
男性を自分から抱き締めるなんて初めてだ。
責任を感じてるとか……一緒に同居してて心配だから……とかそんな理由じゃない。
彼が弱ってると調子が狂う。
蒼士には元気でいてもらわないと困るのよ。
いつもの悪戯っぽい眼差しで私をからかって欲しい。
ああ、みんなが言うように、私……蒼士が好きなのね。
だって、このまま側にいたいって思いますもの。
私の体温を全部奪ってもいい。
だから、早く良くなって―――。
彼の胸にさらに身を寄せ、祈った。
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