【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
仕方なく彼を伴って玄関に向かうと、玄関からある男性が出てきた。
年は三十二、背は百七十くらいで、細身でツリ目のその男は私の従兄、花山院秋人。
うちの会社の役員をしているのだが、ギャンブル好きで、女ったらし。
私の父も彼にはほとほと手を焼いている。
「やあ、綾香ちゃん。そう言えば、今日が大学の卒業式だっけ?袴姿が眩しいな」
秋人さんはニヤニヤしながら、馴れ馴れしくも私の髪に触れてきた。
ゾワゾワッと総毛立つ。
その手を振り払おうとしたら、氷堂がスッと私の腕を掴んでその胸に引き寄せた。
多分、婚約者である私が他の男に触れられるのが面白くないのだろう。
「確か先日のパーティーでお会いしましたね」
ニコッと笑顔を作って秋人さんに声をかける彼。
「ああ、氷堂の」
秋人さんはスーッと目を細めて氷堂を見ると、すぐにこの場を去った。
「彼……頻繁に来るの?」
彼の問いに顔をしかめる。
「月に一、二回程。いつも金の無心に来て、父も困っていますの」
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