【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
父は私の安否確認もしないでいなくなるような薄情な人ではない。
それに、深夜に遊びに行くような人でもないのだ。
父は書斎か寝室にいて……逃げることも出来ずに焼死してしまったに違いない。
うちで働いている者達も「旦那さまの寝室はすでに火が回っていて」とか「旦那さまの叫び声が聞こえた」とか言って騒いでいる。
あまりのショックで消防の人や警察官に話を聞かれても、何も答えることは出来なかった。
呆然と焼け果てた自分の家を見つめる。
「全部……燃えてしまった」
これがただの夢だったらどんなにいいだろう。
だが、これは現実なのだ。
裸足で家から出たから足は痛むし、周囲はこの火事で焦げ臭い。
私の帰る家は……もうない。



足の痛みで目が覚めた。
心配そうに私の顔を覗き込んでいる美佳と目が合う。
彼女の横には大谷先輩がいた。
なぜ彼が?
彼を見て慌ててベッドから起き上がる。
十二畳くらいの見知らぬ部屋。
ここはどこ?
視線を彷徨わせれば、銀縁のデジタル時計が目に映った。
コンタクトをしていなくて数字がぼやけるけど、十三時となっているように見える。
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