【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
彼と一緒にエレベーターに乗ったが、今の自分は鈴木綾香だったことを思い出した。
なにも考えずに氷堂の車に乗って来てしまったけど、まずかったかも。
いいえ、花山院綾香でもよくないのだけど、副社長と一緒に出勤なんて、誰かに見られたら変な目で見られるに決まってる。
しっかりしなくては。
スーッと大きく深呼吸したら、氷堂が楽しげに目を光らせた。
「急にどうしたの?」
「気合を入れているところですの」
彼のペースに巻き込まれてはいけないわ。
その説明に彼はクスッと笑ってポンポンと親しげ私の頭を叩く。
「自然体でいいんだよ」
さっきのキスといい、確実にスキンシップを増やされてる。
「私、あなたのペットではありませんわ」
ギロッと睨んだが、彼は平然としている。
ホント、私が彼を何で打ち負かしたのか疑問だわ。
もう一生彼に勝てる気がしない。
エレベーターが着き、氷堂をおいてオフィスに向かおうとしたら、彼が私の肩を叩いた。
「鈴木さん、海外戦略室には午後顔を出すから」
振り返れば、もう彼は副社長の顔になっていた。
上に立つ者が持つオーラと隙のないその笑顔。
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