【桃・超短編】食べる種(備忘録)
喰らう実
向日葵の種がつまったパッチンが台所テーブルに数ヶ月放置されていた。

それは白内障のオカメインコにと処方されたサンプルだった。

その鳥三十の齢を過ぎる老鳥で、向日葵の種の皮をめくる力がなかった。

向日葵の種達は放置されていた。

私は向日葵の種の実がナッツの様に美味しいことを食べたから知っていたので、劣化の為に、もう植えるしかないのか?等と想って過去を思い巡らせていた。

そうプチトマトを栽培しようと想っていた。私を嫌う人々にころされた文鳥の死骸が埋められた沢山の植木バチに。

実は養分として鳥の体を喰らい立派に育つ。それを食べて、亡くなった彼等の依りになろうと思った。所謂、輪廻転生だ。
植木バチが浅いので、とろける死骸と対面する可能性より、断念したのだが。そうしてプチトマトの話は終わったのだが、向日葵の種に私は似たことを思った。

健康長寿を全うした暁に埋められるオカメインコの墓に向日葵の種を植えてみようか?
(自由が効かないオカメインコの依りになれるかも)
種をたべる為に。



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