空に向かって


「とりあえずアンタには拒否権ないから」

「いや、…でもっ」

「ないから」

「………」


私に拒否権を与えない照彦。


「沙織ちゃん」

ドクンと肩が揺れる。


「多分、狙われてるんだと思う」

顎に手を置く仕草をする水樹さんに、目線だけを向ける。

「…狙われてる?」

「千代を助けた時に、誰かが見てたんじゃないかな?それで“姫”と勘違いしたのかも」

< 242 / 321 >

この作品をシェア

pagetop