空に向かって
男がいた時間はほんの数秒。
なのに、廊下は爆弾でも落としたのかってくらい騒がしい。
教室なんてもう動物園の猿コーナー。
キャーキャーかキーキー煩い。
鼓膜が破れるくらい煩い教室で、静かなのは私と青木くらいだろう。
男は羨望の眼差し、女は欲望の眼差し。
だれだって憧れる。だれだってあんな男を横に置いておきたいって思う。
だけど、それを望まないのが青木だ。
だから選ばれたの?
私も真似したら選ばれるかな…
なんて冗談も甚だしい妄想を終え、現実に戻されたのは麻美の一声。