【完】Mrionation

そうすること、約10分くらい。
お茶を飲みつつ、スマホでスケジュール管理をしていた私の膝から、彼ががばっと勢い良く飛び起きた。


「やっべっ!ごめん!志野!マジで爆睡かましてた!」

「でしょーね。お陰様で足痺れております…」

「まじか!ほんとごめんなー?てか俺どんくらい寝てた?」

「ほんの10分程度ですよ」

「マジで?」

「嘘ついてどーするんですか」

あまりの必死さに、くすりと笑うと彼は少しだけ照れ臭そうに頭を掻いて俯いた。


あぁ…つむじまでイケメンてどうなの……。
そんなことを思っていたら、急に顔を上げてくるからびっくりする。


「志野!」

「はい?!」

「今日こそはメシ食いに行こ。マジ上手い店知ってるから!」

「は…?」

「決まり!んじゃ、仕事戻るわ!膝枕さんきゅ!」


かなり強引に取り付けられた約束。

私は去っていく彼の後ろ姿を唖然と見つめながら、


「いやいや…具合悪いでしょ」

と、1人突っ込んだ。


それでも彼がいなくなった休憩室で、パパっとサンドイッチを食べてから、にんまりしてしまう自分が何故かくすぐったくておかしい。

あぁ…ふだんなら、こんな感情すぐに仕舞い込めるのに。
どうしたら、こう…スマートにコントロール出来るのか…。


リップを引き直してから、私は休憩室を出た。



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