【完】Mrionation
否応なしに縮まっていく距離。
それを、嬉しく思う反面…怖くなる。
今更、好きだと伝えたら…。
この関係は脆くも崩れて行きそうで。
バレないように、見つからないように、そう緻密に作戦を練って、なんとか日々を過ごそうとするのに…。
彼はどんどん私の心に近付いてくる。
慈しむ笑みをこぼして。
温かな温もりを安易に明け渡して…。
私の心全てを、掻き乱して攫っていくように…。
彼という荒波は、強く深く根付いた心の傷痕さえも溶かすくらい、力強くとても大きかった……。
どんどん零れて抑え切れなくなる、私のこの想いを彼はどれだけ気付いているのか…。
聞かなくても、分かる。
言わなくても、きっとこの熱量は彼に伝わってしまってる。
けれど、もう…止まらない。
だから、このまま晒してしまおうか…。
そう、思った。
自信はないけれど…。