この空の下
「この間のパーティーでも一緒でしたし、親しいのかなって」


「そんなこと・・・仕事で会うことが多いだけです」

つい言い訳をしてしまう。



理事長にも、空にも、彩葉さんにも、誤解を解かなくちゃいけない人がどんどん増えている。

困った・・・


「私は、3年ぶりに会ったんです。突然いなくなるようにして別れましたから、なかなか心を許してはくれません」

「でも、こうして隆哉さんのマンションにいるんでしょ?」

「帰るところのない私に仕方なくです」

なるほど。そういうことか。


なんだかんだ言って、隆哉さんは彩葉さんが好きなのよ。

だから無碍にはできない。


一方、彩葉さんの方にも事情があるようで、

実家はお父さんがすでに亡くなっていて、今はおじいさんとお母さん、お兄さん夫婦と子供達が住んでいる。

それでも実家なんだたら大きな顔をして帰ればいいと思うけれど、彩葉さんが大学を卒業してフランス留学する際に実家の反対を押し切った経緯があり、肩身が狭いらしい。

「ここに来るまでは近くのビジネスホテルに泊まっていたんです。それを知った隆哉がここに入れてくれました」

「ご実家には帰らないんですか?」

「いえ、行きますよ。兄さんやお姉さんがいないときに。何しろ実家にはフランス留学のために大きな借金をさせましたから。兄さん達は私が許せないんだと思います。お金って怖いですね」


「そうですね」

身近な人間であればあるだけ、お金でもめるととこじれてしまう。
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