この空の下
無職になって1ヶ月ほどが過ぎた。


こうなったら県外でも海外でもどこでも行こうと覚悟をした時、

「知り合いの診療所だけど、行ってみる?」

と、優子先輩に声をかけられた。


そこは、田舎の小さな診療所。


給料も今より安くなるし、来るのはほとんどが老人。

『面白くも、楽しくもなくて、キャリアを積むほどの症例にも出会わないところだけど』

そう言われた。


それでも、今は選り好みをしている場合じゃない。

「とにかく行ってみます。自分の目で見て決めます」

私は十数通目の履歴書を握りしめて、診療所に向かった。
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